ガラスと金属の封止

ガラスと金属の封止は、エレクトロニックパッケージにおいて重要な役割を果たします。実績のある技術として、性能、安全性、耐久性が重要視される用途で、高気密性のパッケージを実現します。

このページでは、ガラスと金属の封止(GTMS、ハーメチックシール)の主な用途と機能、さまざまな製品タイプについて紹介します。ガラスと金属の封止技術に関するさらなる情報や製造工程をご覧いただけます。

ハーメチックシールのリーディングサプライヤーとして、ショットの幅広い製品ラインアップは、さまざまな特殊要件に対応します。このページでは、ショットが80年以上にわたり世界中のお客様に選ばれるパートナーである理由をご紹介いたします。

はじめに
Assembly process of a glass-to-metal seal showing the eyelet, pin and glass joining together to form a hermetic bond

高い電気絶縁性

導電体または光学導体をガラスで封止することで、不透過性の封止部が形成されます。 無機材料として、ガラス封止は経年劣化の影響を受けないため、高感度な電子部品を長期間確実に保護する必要がある場合に使用されます。

GTMS Glass-to-Metal Sealed Feedthrough Assembly Graphic

水分とガスの侵入を防止

シーリング材としてのガラスは、湿気の侵入、結露、漏洩に対して気密バリアを形成し、非気密ポリマーシールよりも過酷な環境で信頼性の高い保護を提供します。 ガラスと金属は、追加のインタフェース材料を使用せずに直接密閉できるため、セラミック金属密閉シールの代替品と比較して、複雑さが軽減されます。

用途

ガラスと金属の封止の用途

ガラスと金属の封止は、以下のような幅広い製品や業界で使用されています。

  • 高温センサー

  • 石油・ガスアプリケーション

  • バッテリーとコンデンサ

  • 原子炉

  • インプラント医療機器

  • オプトエレクトロニクスパッケージ

  • 自動車用エアバッグ

ガラスと金属の封止の主な目的は、電気信号または光信号を気密パッケージから確実に取り出せるようにすることです。しかし、これらの封止は、封入された電気部品やシステム、半導体、電気化学製品、火工品、その他の物質の損傷や故障の原因となる湿気やガスの侵入やリークを防ぐという重要な機能も果たしています。

ガラスと金属の封止(GTMS)技術は、極端な温度変化、湿度、高圧、腐食性化学物質などの過酷な動作条件下で確実に性能を発揮することで、寿命、性能、効率の向上と革新的な設計を実現します。これらの封止は、安定した接続と信頼性の高い保護を提供し、高品質で耐久性に優れた気密封止部品や機器の製造を可能にします。この技術の汎用性は、幅広い用途に使用されるハーメチックシールの機能、設計、サイズの多さに見られます。

タイプ

ガラスと金属の封止の種類

気密ガラス封止部品は、幅広い型、サイズ、材料の組み合わせ、複雑さで設計できます。

ショットでは、直径1.2mmから600mmのハーメチックシール(GTMS)製品を取り扱っています。金属にはステンレス鋼、アルミニウム、チタンが含まれます。ショットの専門家は、数百種類のガラスと金属から適切な材料の組み合わせを選択する方法を知っています。

ハーメチックシール(GTMS)のさまざまな製品カテゴリーについて詳しくはこちらをご覧ください。

	 Various types of glass-to-metal sealed feedthroughs from SCHOTT.
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ガラスと金属の封止によるフィードスルー

フィードスルーは、電力と電気信号または光信号を障壁や筺体の内外に通すと同時に、ほこり、湿気、ガスなどの侵入を防ぎます。

Glass-to-metal sealed connectors in different shapes and sizes.
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ガラスと金属の封止によるコネクタ

コネクタは、部品と部品の間またはシステムとシステムの間の電気的または機械的な接続を可能にし、ケーブル、ワイヤー、またはデバイスを繰り返し電気的接続または切断することを可能にします。通常は、オスとメスの部分で構成されています。

A SCHOTT glass-to-metal sealed pedestal TO header with components.
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ガラスと金属の封止によるヘッダー

ヘッダーは、半導体、レーザーダイオード、単純な電子回路などの電子部品や光学部品を取り付けるための機械的基盤を提供します。さまざまなピン構成があり、プリント基板に表面実装またはスルーホール実装することができます。

A group of glass-to-metal sealed windows and lens caps from SCHOTT.
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ガラスと金属の封止によるウィンドウとキャップ

ウィンドウとレンズキャップは、光信号の高効率で正確な送受信を可能にする気密インターフェイスです。

ウィンドウとキャップの詳細について
Glass-to-metal-sealed microelectronic packages from SCHOTT with different designs.
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ガラスと金属の封止によるマイクロエレクトロニクスパッケージ

マイクロエレクトロニクスパッケージは、極めて過酷な動作条件下で電気アセンブリと部品を保護し、信頼性の高い電力と信号の伝送を可能にします。これらは、ハイブリッドパッケージ、マルチチップモジュールハウジング、または集積回路(IC)パッケージと呼ばれることもあります。

パッケージの詳細について
A collection of SCHOTT glass-to-metal sealed lids and covers for lithium batteries.
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ガラスと金属の封止によるリッド

気密性の高いリッドとカバーは、リチウム一次電池と産業用リチウムイオン電池に耐久性のある気密保護を提供します。また、アルミニウム電解コンデンサとウルトラコンデンサ/スーパーキャパシタの封入にも使用されます。

リッドの詳細について
技術と設計

ガラスと金属の封止技術

高品質のガラスと金属のフィードスルーを製造する上で重要なことは、最適な熱膨張係数(CTE)を持つ材料を組み合わせることです。専門家による金属と適した封止ガラスの選択とその後のプロセスは、耐久性のある気密封止に不可欠です。ハーメチックシール製品は、使用するガラスと金属、およびその熱膨張率に基づいて2つのタイプに分類できます。

整合封止型

整合封止では、金属の熱膨張係数とガラスの熱膨張係数を同一にします。このタイプの封止は、通常、温度変化が伴う用途や、ピンピッチや寸法要件が厳しい場合(例えば、小型化や非円形の形状など)に使用されます。設計によっては、整合封止型のハーメチックシールは、数万回もの加熱と冷却サイクルを繰り返しても完全性を維持することができます。また、封入された電子機器が正確に動作するために完璧な構造が不可欠な半導体および光電子アセンブリに適しています。

圧縮封止型

圧縮封止は、熱膨張係数が大きく異なるガラスと金属を使用します。これにより、製造工程で外側の金属製アイレット(ハウジング)から封止ガラスに圧縮応力が加わります。この圧縮応力によって、接着強度が高い封止が形成されます。実際、ガラスの圧縮強度は引張強度の10から20倍です。このため、圧縮封止は通常、高い機械的堅牢性を必要とする設計に使用されます。例えば、自動車やエネルギー用途では、不安定な環境下で電子機器を安全に作動させ続けるために、長期にわたる完全な封止が必要です。

Diagram showing a comparison between matched and compression glass-to-metal sealing types
製造工程

ガラスと金属の封止の製造方法

ガラスと金属の気密封止は、以下の3つの部品のみを用い、複雑でありながら非常に効果的な製造プロセスで製造さています。金属のアイレット(ハウジング)、金属のピン(フィードスルー)、ガラスプリフォーム(封止材)。製品の高信頼性を実現するためには、基本的な詳細を完全に理解する必要があります。特にカスタマ品において、堅牢性と信頼性を最大化するために、さまざまなガラスタイプと配合に精通していることが重要です。高品質な封止には、用途に適した金属とガラスの組み合わせを選択し、封止プロセスを適切に実行することが不可欠です。独自の課題を解決したり、新しい用途を実現するために、ショットの社内開発能力により、まったく新しいタイプのガラスを改良したり、設計したりすることができます。

ガラスと金属の封止の製造は、5つの主要な分野に分けることができます:

  1. 適切な封止ガラスの選択

  2. パッケージとフィードスルーの設計と検証

  3. 封止

  4. めっき

  5. システムの統合

製造工程

適切な封止ガラスの選択 適切な封止ガラスの選択 適切な封止ガラスの選択 適切な封止ガラスの選択 適切な封止ガラスの選択
  • 適切な封止ガラスの選択
  • 適切な封止ガラスの選択
  • 適切な封止ガラスの選択
  • 適切な封止ガラスの選択
  • 適切な封止ガラスの選択

適切な封止ガラスの選択

ガラス会社であるショットが、ガラスと金属の封止において、他と違う点はガラスに関する専門知識と製造能力があることです。ガラスの開発、熔解、粉砕、プリフォーム製造はすべて、ガラス調合と気密封止に関する一流の専門家によって社内で完全に管理されています。

耐久性の高いガラスと金属の封止を製造するには、使用する金属と使用条件に基づいて適切な封止ガラスを選択することが不可欠です。ショットは、非常に幅広い標準ガラスを提供し、高度な要件を満たすために使用できる新しい特殊ガラスを継続的に開発しています。これらの能力により、お客様が要求する仕様を正確に満たすことができます。

ガラスプリフォームを製造するために、特殊ガラスの溶融物はガラス片に加工され、微細なガラスパウダーに粉砕された後、プレスされ、プリフォームに焼結されます。ショットのガラスプリフォームは、極めて高い寸法精度、機械的安定性、安定した重量、滑らかな表面を有しており、堅牢で気密性の高いガラスと金属の封止を実現する重要な役割を果たしています。

パッケージとフィードスルーの設計と検証 パッケージとフィードスルーの設計と検証 パッケージとフィードスルーの設計と検証
  • パッケージとフィードスルーの設計と検証
  • パッケージとフィードスルーの設計と検証
  • パッケージとフィードスルーの設計と検証

パッケージとフィードスルーの設計と検証

ショットの開発プロセスは共同作業です。お客様と緊密に協力し、アプリケーションに最適なコンポーネントをお届けします。

よりコスト効率の高い設計や複雑でない設計に関するエンジニアリングサポート、完全なカスタマイズやレンダリングはすべて、ガラスと金属の封止の設計開発の一部です。ショットは、独自の経験と高度な検証方法を活かし、従前の製品コンセプトを改善しています。

検証はガラスと金属の封止(GTMS)にとって重要です。ショットは、さまざまなツールやサポートシステムを使用してシミュレーションやテストを実施し、アプリケーションやお客様のプロセスでの実装が成功しているかどうかを検証します。当社では、溶接、はんだ付け、実装など、さまざまな方法で実用試験を行っています。つまり、ショットがお客様のビジョンを理解し、実現させるということです。

封止

封止

封止プロセスにより、3つの別々の部品が1つのガラスと金属の気密封止製品になります。ガラスプリフォーム、金属のアイレット、金属のピンをカーボン治具に固定し、高度に制御された特殊なプロセスで炉に入れます。材料の温度、炉の条件、ガス組成、加熱/冷却挙動はすべて製品要件を満たすように専門的に最適化されます。

確かなガラスと金属の封止プロセスにより、設計仕様に正確に従い製造された堅牢で耐久性のある部品ができます。

めっき めっき
  • めっき
  • めっき

めっき

めっきは、ガラスと金属の封止を製造する最終工程であり、封止プロセスが完了した後にさまざまな表面処理を施します。これらの処理は、腐食防止や電気的相互接続を可能にするなど、さまざまな機能を果たします。ニッケル、金、亜鉛などのめっき金属は貴金属を節約するために、多くの場合ピンにのみ施されます。

ショットは、すべてのめっきプロセスを社内で行っています。これは生産プロセスにおいて差別化を図る重要なポイントです。なぜなら、多くのGTMSメーカーはこの工程を外注しているため、リードタイムが長くなり、品質に問題が生じる可能性があるからです。

ショットの内製めっきの設備は、試作品および安定した品質の量産品の両方に対応するように最適化されています。最終組立製品の効率と性能を最適化するために、材料の種類や厚さについてのご相談はお気軽にお問い合わせくだ さい。

システムの統合 システムの統合 システムの統合
  • システムの統合
  • システムの統合
  • システムの統合

システムの統合

ハーメチックシールは、ショットの最終品質検査に合格した後、出荷され、お客様の工程でフィードスルーとコネクタを取り付けていただきます。

また、チップやプリント基板をヘッダーやマイクロエレクトロニクスパッケージに取付することもできます。電極溶接またはレーザー溶接を用いてワイヤーを接着し、ハウジングを封止します。

バッテリーとコンデンサも同様です。電解液を充填した後、お客様はショットのリッドをバッテリーまたはコンデンサのケースに溶接いただけます。

お客様にて気密部品を自社製品に組み込むことも、委託製造業者に委託することもできます。

ショット製品と専門知識

ショットの製品と専門技術

ショットのGTMS(ガラスと金属の封止)が選ばれる理由

ショットのハーメチックシール(GTMS)製品は、信頼性の高い品質だけでなく、それ以上の価値を提供します。当社はお客様との緊密な協力のもと、技術的な課題を解決する気密部品を開発しています。ガラスと金属の封止に関する数十年の経験を活かし、お客様の市場で差別化をもたらす将来性のある設計と製品の最適化を可能にします。ガラスと金属の封止(GTMS)のエキスパートとして、ショットは顧客志向のハイレベルなサービスを提供しています。

テーブルで共同作業をする男女。

取得認証

当社のGTMSの生産拠点は、ISO 9001、ISO 14001、IATF 16949、EHS、AS 9100/EN 9100/JISQ 9100、ISO 5001、ASME、ATEXおよびIECEx、CE Plus、KTA 1401およびEffiNetを取得しています。

次世代製品のための信頼性の高い設計

お客様と協力して、量産の気密製品やカスタム品の性能、安全性、耐久性を向上させるイノベーションを継続的に取り組んでいます。

以下で、最近の使用例をご覧ください。

 

 

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