気密パッケージと非気密パッケージ:気密性はいつ本当に確保されているのか
気密封止は、繊細な電子部品やフォトニクス部品を水分や有害なガスから保護し、早期故障を防止します。このページでは、気密パッケージと非気密パッケージの主な違い、および気密性の定義と評価・試験方法について解説します。
気密性とは何か?
気密性とは、デバイスの使用期間を通じて、水分やガスの侵入および漏出を防ぐガス密封性のことを指します。技術的には、デバイスが気密性を有すると見なされるのは、試験時だけでなく、数年から数十年にわたる稼働期間中も内部の水分量を極めて低いレベルに維持できる場合に限られます。「気密(ハーメチック)」という言葉は、しばしば「エアタイト(気密/空気漏れがないこと)」と同義で使われますが、技術的な定義はもっと厳格です。初期にはガス密封性を示していても、時間の経過とともに水分の侵入を許してしまうパッケージや部品は、気密性があるとは言えません。
重要なポイント: 気密性とは、短期間の試験結果ではなく、長期間にわたって維持される性能です。
気密性について詳しく知る
微量の水蒸気であっても、電子およびフォトニクスシステムの性能や信頼性を損なう可能性があります。内部の水分が結露閾値を超えると、金属配線の化学的腐食、漏電、イオンマイグレーションによる短絡(ショート)、さらには光散乱によるフォトニクス部品の安定性や精度の低下を引き起こす恐れがあります。
「エアタイト(Airtight)」 は、一般的にある時点において空気やガスの漏れを防ぐ性能を表します。これに対し、「ハーメチック(Hermetic)」は、それに加えて、長期間にわたり水分の透過を防ぎ、デバイスの耐用年数を通じて封止性能が劣化しないことが求められます。そのため、エアタイトであってもハーメチックとは限りません。一方、ハーメチックであれば、必ずエアタイトでもあります。
内部水分量(内部水分濃度)は通常、ppm(パーツ・パー・ミリオン)で表されます。水分量が5000ppm未満であれば、内部露点は十分に低く保たれ、通常の動作条件下では結露や腐食を防ぐことができます。しかし、この閾値を超えると、水分に起因する故障が急速に進行する可能性があります。
気密パッケージとポリマーパッケージ ― 根本的な違い
気密性は、材料そのものの特性によって決まります。ガラス、金属、セラミックなどの無機材料のみが、水分やガスの透過を極めて低いレベルに抑え、長期間にわたって安定したバリア性能を維持できます。これらの材料は経年劣化や脆化が起こりにくく、保護性能を失うこともありません。一方で、ポリマー材料には透過性があり、水分やガスが材料自体を通して拡散します。さらに、温度、圧力、化学薬品などの環境要因によって材料の経年劣化や性能低下が進行します。
下表に示すように、ポリマーを用いたパッケージは短期間の試験結果にかかわらず、常に非気密性であると見なす必要があります。
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| タイプ |
タイプ
ポリマー封止およびパッケージング
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タイプ
気密封止およびパッケージング
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| 材料タイプ |
材料タイプ
有機ポリマー、エポキシ樹脂、PEEKなど
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材料タイプ
無機材料、例:ガラスと金属の封止
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| 水分透過性 |
水分透過性
水分透過率が高い
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水分透過性
湿気およびガスの透過がほとんどゼロ
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| 経年変化 |
経年変化
経年劣化や脆化が生じる
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経年変化
経年劣化や材料の劣化はほとんどない
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| 長期信頼性/危険な内部水分量に達するまでの期間 |
長期信頼性/危険な内部水分量に達するまでの期間
数日から数ヶ月
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長期信頼性/危険な内部水分量に達するまでの期間
数十年
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| ヘリウムリーク試験の有効性 |
ヘリウムリーク試験の有効性
結果が誤解を招く可能性がある
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ヘリウムリーク試験の有効性
有効
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| 過酷な環境への適合性 |
過酷な環境への適合性
限定的。温度・圧力・化学物質による劣化を受けやすい
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過酷な環境への適合性
○
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| 真の気密性 |
真の気密性
✖
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真の気密性
○
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図2:ポリマー封止とガラスと金属の気密封止の比較。材料構成、水分・ガス透過性、経年劣化、長期信頼性、耐環境性、および重要用途における真の気密性(Hermeticity)の違いを示しています。
気密パッケージとポリマーパッケージの違いについて詳しく知る
ポリマーは自由体積を有する分子構造を持っており、気体や水分の分子が材料の内部を直接拡散し、透過します。この現象は、亀裂や欠陥がなくても発生し、材料の耐用年数を通じて継続します。
ポリマー材料は、熱的、化学的、機械的ストレスにより自然に劣化します。時間の経過とともに、脆化や亀裂の発生、透過性の増大、さらにはパッケージ内部への揮発性化合物のアウトガスの発生を引き起こす可能性があります。これらの影響は、製品の長期信頼性を直接損なう要因となります。
準気密(Near-hermetic、Quasi-hermetic)といった用語には、物理的な定義も標準規格に基づいた定義もありません。
材料の観点から見ると、封止やパッケージは透過性か非透過性のいずれかです。ポリマーは透過性がありますが、ガラス、金属、セラミックは実質的に透過しません。
気密性の定義と評価方法
気密性は、一般的にMIL-STD-883 試験方法1014(Test Method 1014)に基づいて評価されます。この試験方法は、もともと軍事・航空宇宙用途の電子機器や体内埋め込み型医療機器向けに開発されたものです。
現在では、自動車、産業機器、エネルギー分野に加え、一部の民生機器においても、長期信頼性を評価する基準として広く採用されています。
臨界水分量
気密性があると見なされるためには、デバイスの耐用年数を通じて内部の水分量が5000 ppm(パーツ・パー・ミリオン)未満に維持されなければなりません。この閾値以下であれば、内部の露点は結露や腐食を防ぐのに十分低い状態となります。一方、水分量が約8000 ppmに達すると、約5°C程度の温度で結露が発生する可能性があります。
ヘリウムリークテストだけでは十分ではない理由
ヘリウムファインリークテストは、漏れ(リーク)を測定する試験であり、長期的な透過性(パーミエーション)を評価するものではありません。ポリマーを用いたパッケージの場合、短時間の試験では実使用期間における挙動を正しく評価できず、ヘリウムに対する気密性があっても、水分の透過まで防ぐものではないため、誤った結論を導いてしまう可能性があります。その結果、臨界水分量に数日から数週間で達してしまう可能性があります。
重要なポイント:ポリマーパッケージは、ヘリウムリークテストに合格しても、実際の使用環境では不合格となる可能性があります
気密性の定義およびその評価方法について詳しくご確認ください
- 漏れ(リーク)とは、欠陥、亀裂、または不完全な封止部分を通してガスが漏れることを指します。
- 透過(パーミエーション)とは、ガスや水分が材料そのものを通して拡散・透過する現象です。
気密試験は主に漏れを対象としています。透過は材料自体の特性によって決まり、ポリマー材料では完全に防ぐことはできません。
ヘリウムファインリークテストは、管理された試験環境下でリークを検出しますが、有機材料を通じた長期的な水分拡散は評価できません。そのため、ポリマー材料を用いたパッケージはヘリウムテストに合格しても、実際の運用時には臨界水分量に達する可能性があります。
キャビティ(内部空間)の容積が小さくなるほど、早く臨界水分濃度に達します。下の表に示すように、パッケージが小さいほどキャビティの表面積と体積の比率が大きくなり、危険な水分量に到達する速度が速まります。
したがって、許容されるリーク率はパッケージの形状、試験期間、および環境条件の前提によって異なります。リーク率の値は、常にこうした前提条件を踏まえて解釈する必要があります。
気密パッケージとポリマーパッケージの選び方
気密パッケージと非気密パッケージの選択は、通常、部品の水分や有害ガスに対する感度、性能要件、システム設計上の制約、そして動作条件によって左右されます。ポリマー封止は、要求がそれほど厳しくない環境では十分な場合もありますが、経時的な環境影響を補うために、追加の保護対策や設計上の工夫が必要になる場合があります。
設計自由度および性能向上をもたらす気密性
気密封止は、高い信頼性と長期的な保護と関連付けられることが多いですが、その価値はそれだけにとどまりません。ポリマー封止で「十分」と思われるケースでも、気密性そのものが設計の自由度や機能性を高めるための重要な鍵となる場合があります。
気密封止は、デバイスを保護するだけでなく、次のような利点をもたらします。
- ポリマー封止で必要となる補償機能を不要にする、よりスマートで小型、かつシンプルな設計
- 高度に設計された多層ポリマー封止ソリューションと比較して優れたコスト効率
- メンテナンス周期の延長や耐用年数の向上による総所有コストの低減
- 使用環境の変化や長期間の使用においても安定した電気絶縁性
- 水分に起因するドリフト(出力変動)や性能劣化のない予測可能な信号伝送
- 過酷なフォトニクスやセンシング用途における光学的透明度と波長安定性
つまり、気密性は単に過酷な環境で耐え抜くためだけのものではなく、より高性能で、より効率的、そしてより経済的なシステム設計を実現するための技術でもあります。
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