絶縁の要求
高電圧システムでは、駆動用バッテリーから利用可能な動作電圧は常に200Vを超え、多くの場合は500Vを超えます。一部のOEMでは800V前後を使用しているものもあります。これらの高電圧は、電気絶縁性に非常に厳しい要求をもたらします。したがって、気密端子は、自動車産業とそのサプライヤーにとって特に大きな課題の一つとなっています。長い間、高電圧はこの業界のDNAに根付いていませんでした。「しかし、ショットには金属とガラスの封止で80年以上の経験があります 」とR&Dマネージャーの藤岡明氏は言います。「当社は60年以上にわたり、家庭用エアコンや冷蔵庫用コンプレッサーの気密端子を製造してきました」と藤岡氏は付け加えます。
走行車両には極めて厳しい条件が課せられます。環境要因、振動、厳しい温度変化など、業界の通常の要求を満たすことは、難しい課題です。さらに、コンプレッサー自体にも条件があります。気密端子は、R134a、R1234yf、R744(CO₂)などの様々な冷媒に耐えなければなりません。二酸化炭素では、最大200バール(20メガパスカル)の運転圧力で最も要求が厳しくなります。絶縁体もまた、高電圧に耐えなければなりません。沿面距離は特に重要です。ショットでは、ガラスを含むいくつかの高品質な材料を使用して設計を最適化しています。ガラスは電気絶縁体として、金属製のピンとアイレットの間を絶縁します。ガラスは、ショットのコア・コンピタンスです。140年にわたり、高品質な特殊ガラスメーカーとして知られています。そして、ガラスと金属の封止についても高い専門性を持っています。
絶縁性向上のためのラバー材料
ショットの電動コンプレッサー用気密端子をユニークなものにしているもう一つの素材は、絶縁用特殊ラバーです。実際の機械的接続はガラスが担いますが、特殊ラバーには、絶縁性を高めると共に、結露を防ぐ働きがあります。その材料には、もちろんPAGやPOEなどのコンプレッサー用潤滑油にも耐えるものを採用しています。ショットでは、コンプレッサーの内側と外側で異なるラバー材料を使用しています。「広範囲にわたる一連のテストを行った結果、当社のエンジニアは最適な組み合わせを見つけ出しました」と藤岡明氏は言います。伸縮性のあるその部品は、気密端子の信頼性と耐久性を高めます。アイレットにも最高の品質基準が適用されます。コンプレッサーのハウジングに対してしっかりと固定されるように、アイレットは非常に平らで滑らかでなければなりません。