内側からの現金保護

現金のセキュリティ

銀行や小売店、現金自動預け払い機（ATM）、現金輸送車などを襲って「小遣い稼ぎ」しようとする犯罪者を含め、いまだに多くの人の心の中には「キャッシュ・イズ・キング（現金は王様）」という言葉が残っています。最新の現金運搬ボックスの登場により、銀行での現金強盗はますます困難になっています。このような運搬ボックスは、単に壊すことができないばかりでなく、知的なセキュリティシステムを備えているためです。この20年間、フランスでは、高度に洗練された現金保護ソリューションが進化を続けています。フランスのディジョンにあるOberthur Technologiesグループの一員であるOberthur Cash Protection社は、今日までに5万個以上の現金保護用セーフティボックスを世界中の顧客に提供してきました。現在、ヨーロッパ全域の多くの現金輸送業者がこの安全なコンテナを使用しています。その確かなセキュリティ技術は、装甲現金輸送車よりもさらに効率的に強盗を撃退できるように設計されています。

現金を安全に確保する方法 

金庫には、タイムロック、複数のセンサー、RFID（無線通信を用いた自動認識技術）が搭載されています。侵入者、異常な温度変化、電磁場や静電気、ガスや液体の漏出などの予期せぬ出来事が発生すると、大音量のサイレンが鳴り響き、濃厚な赤色煙が発生し、GPS-GPRSの測位信号によって位置が特定されます。しかし、それだけでは十分ではありません。ショットのCONTURAX^®Proガラスで作られた角型インクカートリッジは、このセキュリティシステムの中心にあります。電子制御可能なシステムによって起爆装置を作動させ破裂させた場合、紙幣は紫色の消えないインクにより飽和し、無価値なものになってしまいます。まさに「悪銭身につかず」です。 

現金輸送に対する完全な保護

「当社の製品、コンポーネント、技術は、最高の基準を満たしていなければなりません。これは、現金輸送という極めて重要な局面で、お客様に100％の保護を保証する唯一の方法です。」 Oberthur Technologies社は、パリ近郊のジョインビル・ル・ポンにある化学品や実験装置を専門とする会社Société SAV社から充填済みインクカートリッジを受け取っています。SAV社はショットから供給されたガラス管を分割し、容器に成形した後、染料を充填します。ホウケイ酸ガラスの高い化学的安定性により、パーマネントインクの特性を永続的に維持することができます。

「ガラスカートリッジを製造するためには、長方形で側壁が均一に薄いガラス管が必要です」とSAV社のゼネラルマネージャー、ジャン・リュック・ボイトラー氏は説明します。「CONTURAX^®Proは、この仕様を満たす唯一の製品です。理想的な化学的および機械的性質を持ち、優れた機械加工性に加えて極めて正確な加工が可能です」。

多彩な形状で最適な加工を実現

ショットは、特許取得済みの管引き工程により、三角形、長方形、六角形など、さまざまな形状のシームレスなCONTURAX®Proプロファイルガラス管を製造しています。これにより、コストのかかる形状加工を回避することができます。ガラス管は最大長さ4メートル、肉厚0.2mmから5.0mmまで用意されています。ガラス製のインク容器を製造するためには、肉厚1.75mm、公差±0.15mmという極めて公差の小さいガラス管が必要です。インクカートリッジの形状が長方形になっているため、現金ボックスに省スペースで組み込むことができます。同時に、四角形のプロファイルガラス管は、このセキュリティ用途の内部で引き金を引くと、丸ガラス管よりも簡単かつ均等に破断します。

ショットの工業用ガラス管担当EMEA地域セールスディレクターのヘルマン・ティーツェは、「このような高い要求を満たす新アプリケーションを実現することは、非常にエキサイティングで刺激的です。」と述べています。「本来ならば、ガラスにはできる限りの耐久性と強度が求められます。しかし、このインクカートリッジには、当社のガラス管が製造中や輸送中に破損することなく、迅速かつ均一に破損することが期待されます。」

これまで、Oberthur社のこのインテリジェントな現金保護システムは、主に西ヨーロッパで導入されてきました。現在は、世界の他の地域にも顧客層が広がることが期待されています。「このガラス製インク容器は盗んだ紙幣を犯罪者が使用できないようにするということを知るだけでも、抑止力となり、犯罪行為を防ぐことができるでしょう。」と、ショットのヘルマン・ティーツェは述べ、 「当社がこれに貢献できることを嬉しく思います。」と締めくくりました。