LiDARの安全性を高めるポイント

ADAS(先進運転支援システム)には、高性能なセンサーパッケージが不可欠です。ガラスと金属による封止(GTMS)技術を使用したセンサー用気密パッケージは、優れた堅牢性を実現し、センサーの性能を向上させます。

安全性は、アシスト運転と完全自動運転にとって最重要項目です

LiDARは、自動運転を可能にする最も重要な技術の 1 つです。目に安全なレーザーを使い、250m以上離れた車の周囲をスキャンします。フォトダイオードが信号を集めると、高性能なプロセッサーがリアルタイムで高解像度の3次元点群画像を作成します。多くのシステムにおいて、カメラとレーダー技術はポイントクラウドの精度を向上させ、あらゆる条件下での運転機能の完全自動化を含む、より高いレベルの自動運転(レベル3以上)にとって重要な冗長性を提供します。

自動運転システムスマートカー

システム内のLiDARセンサーがデータを収集し、リアルタイムで高解像度な3次元点群画像を作成

安全な自動運転には正確な LiDAR 信号が必要

安全で信頼性の高い自律走行システムの開発には大きな進歩がありましたが、まだ克服すべき課題も残っています。その一つが、LiDARシステムにおける光信号の伝送品質です。LiDARセンサーには非常に高い精度が要求されるにもかかわらず、主に自動車の外側に設置されることが課題です。そのため、センサーは衝撃や振動の増加だけでなく、高温、高湿、紫外線などの過酷な条件にさらされることになります。これらの悪環境は、レーザーダイオード、MEMSミラー、信号受信用フォトダイオードなど、システムの高感度な内部の部品を損傷、あるいは破壊する可能性があります。

多くの開発者が最も恐れているのが、水分の侵入です。水滴がレーザーエミッターやレンズ、ガルバノミラーなどの重要で繊細な部品に付着すると、センサーの大幅な性能低下や死角、あるいは致命的な故障の原因となる可能性があります。自動運転車では、誤操作や交通事故にもつながりかねず、いずれも命に関わる安全上のリスクになります。

信号を感知するLiDAR デバイス
LiDAR センサーの動作機能と内部構造(例:MEMS ベースの LiDAR センサー)

高品質なパッケージは、正確な光信号の伝送に欠かせません

走行環境は過酷であり、厳しい光学性能も要求されるため、LiDARの部品には堅牢で気密性の高いパッケージが必要となります。さらに、大量市場である車載用途でLiDAR技術を普及させるためには、絶対的な安全性、信頼性、耐久性が重要です。LiDAR センサー用パッケージは、数時間や数日間だけでなく、長年にわたって安定した高性能な光信号伝送を可能にする必要があります。

車載用途では適切なパッケージング技術の選択が重要

気密センサーパッケージには、さまざまなタイプの技術があります。過酷な環境下にある車載用センサーパッケージやオプトエレクトロニクスセンサーパッケージングにおいて、最も一般的な高性能技術の一つがガラスと金属による気密封止(GTMS)です。GTMS技術による気密パッケージは、センサー部品を無機材料で完全に封入します。金属製のパッケージ部品は、ガラスや金属ロウ材と導電性材料を組み合わせて構成されています。この金属パッケージで部品やセンサー全体を封入する事で経年劣化しない密閉された環境を実現します。ガスや水分は、ガラスを透過できないため、高い気密性をほぼ永続的に維持することができます。一方、ポリマーなどの非気密性の封止材は、時間の経過とともに劣化し、真の気密性を保つことはできません。

ガラスと金属による封止技術を使用する事により、センサー用パッケージの側壁に光を通すためのウインドウを設けることができます。材料の制約に対応すると共に、波長に応じた最適な透過率を実現するために、さまざまな高品質のガラスウインドウをご用意しています。バンドパス、ハイパスフィルターコーティングは、光学ノイズを最小限に抑え、S/N比を向上させます。
LiDARレーザー光線用パッケージの一部

金属とガラスの封止による光源用パッケージ

MEMS用パッケージ部品の一部

金属とガラスの封止によるMEMSミラー用パッケージ

ガラスと金属の封止により、優れた堅牢性を実現

ガラスと金属の封止で重要な点は、特殊ガラスと金属の適切な組み合わせを選択することです。一般的に、ガラスと金属は、封止プロセスでの膨張や収縮が異なるため、その2つの材料の熱膨張係数(CTE)が適切である事が重要となります。厳選された組み合わせにより、インターフェースを追加することなく、材料を直接接合することができます。ガラスと金属が一体となったパッケージは、自動車の過酷な圧力や温度変化にも耐えることができます。

GTMSパッケージの典型的なピン設計はスルーホール設計とも呼ばれ、センサーパッケージをプリント基板(PCB)にしっかりと接続することができます。電気コンタクトピンは、はんだを使用して プリント基板 に挿入してしっかりと固定できるため、アセンブリの耐衝撃性と耐振動性が高まります。GTMSパッケージは、表面実装デバイス(SMD)タイプで設計することもできます。このSMDタイプでは、業界標準の回路基板アセンブリ技術を用いピックアンドプレースアセンブリに使用可能な短いピンを付けることができます。

ガラスと金属による封止パッケージの分解図
ガラスと金属による封止(GTMS)パッケージの典型的な設計

パッケージのエキスパートが、貴社の開発の全過程をサポート

新たに登場したこの分野では、現在、多くのLiDAR センサー技術が競い合っています。これには、回転センサー、 MEMS スキャナー、半導体アレイ、フォトニクス システムが含まれます。LiDARセンサー用パッケージの要件は、技術やお客様によって異なりますが、LiDARシステムを製造する企業はすべて、高信頼性エレクトロニクスパッケージを理解し、高度な能力を備え、自動車の手法に精通したパートナーを必要としています。研究・試作から量産まで、一貫した高品質で各開発段階をサポートできる信頼されるパートナーであることが必要です。

ショットの LiDARアプリケーションエキスパートであるKristina Gruberは次のように述べています。
「ショットには、協力的な取り組み、高品質、カスタム設計や標準パッケージ製品で、急速に成長する LiDAR 技術を対応する準備が整っています。」 さらに、 「通信/データ通信業界や自動車業界へのサプライヤーとして数十年にわたる専門知識に基づき、当社のオプトエレクトロニクスのノウハウと、世界各地のIATF16949認定製造拠点を含む大量生産能力が、お客様の利益につながります。」と付け加えます。

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