Line of clear glass vials with caps

バイエル社向け革新的一次包装ソリューション

バイエル社は、戦略的な購買の概念をさらに推し進めています。戦略的に重要なサプライヤーとの緊密なパートナーシップにより、グローバルなライフサイエンス企業であるバイエル社は、革新的な一次包装ソリューションを用いて、より安全かつ迅速な方法でバイオ医薬品を販売することができます。

ショット製品の要件

医薬品用のバイアル、カートリッジ、シリンジは、一見すると特別なものではありません。その内容物(生死にかかわるような医薬品)とは異なり、多くの場合、このような小さな容器は通常見過ごされます。1回あたりの医薬品の価値と効能が上がり続けている一方で、単品のバイアルの価格がまだ数セントであることを考えると、これは驚くには値しません。では、なぜ製薬会社にとって、このような製品やそれを製造する企業との連携が今でも極めて重要なのでしょうか。 

バイエル社 カテゴリーマネージャー、サッシャ・カルヘファー氏
「一次包装は、今やすべての非経口製剤に不可欠な要素となっています。これがなければ、開発した薬を適切に保管することも、患者さんのもとに届けることも、患者さんが必要とする量を正確に投与することもできません。」

カルヘファー氏はバイエル社のカテゴリーマネージャーで、ガラスおよびガラスに類似した一次包装システムのグローバル調達の責任者であり、バイオテクノロジー工学の学位も取得しています。個々のバイエル社製品について、製品の原価と品質の総コストとのバランスを保つことを専門にしています。

ガラス容器はどれも同じというわけではありません。時間の経過とともに、一次包装容器の内面は内容物と相互作用を起こします。最悪の場合、この相互作用が薬の効果に影響を与えたり、副作用につながったりすることもあるため、これを最小限に抑えることが必要です。特に最近のバイオ製品は、分子構造が複雑なため、この相互作用の影響を受けやすく、特殊な包装が必要です。これらの製品の潜在的な問題から患者さんを確実に守るためには、製薬会社とそのサプライヤーは協力のあり方を変え、最初から革新的な解決策に焦点を当てる必要があります。バイエル社はこれを「サプライヤー・イネーブルド・イノベーション(SEI)」と呼んでおり、そのためにプラットフォーム技術も利用しています。

バイエル社 カテゴリーマネージャー、サッシャ・カルヘファー氏

バイエル社 カテゴリーマネージャー、サッシャ・カルヘファー氏

製造工場前に設置されたバイエル社のロゴを示す電飾看板

バイエル社は世界最大級の製薬・ライフサイエンス企業です

市場投入までの期間を短縮するための緊密な連携

生産工程の早い段階からサプライヤーと連携する新しい形は明らかに重要です。例えば、ある高活性分子を充填し、安全に保管するために、バイエル社は特殊なコーティングを施したバイアルを使用することにしました。この種の製品は、保存中の物質の安定性を保つために凍結乾燥され、注射される前に液体にもどされることが多いためです。しかし、保存した瞬間から、薬剤がガラスと反応する危険性があります。ソリューション:ショットのシニアビジネスデベロップメントマネージャーであるDr.ベルンハルト・フラディックは、「酸化ケイ素でできた高純度のコーティングは、一種のイオンバリアを形成します。」と説明します。

バイエル社は、適切な一次包装を選択するために、容器メーカーであるショットの専門知識を有効活用しています。「私たちは、ガラスという素材と厳選されたポリマーを扱う専門知識で、この議論に貢献しています。当社にはすでに多くの有効成分やバッファーについての経験があり、どのパッケージがそれらにとって良い選択となるかを知っています。」とDr.フラディックは言います。「もちろん、法律で要求される安定性試験は依然として医薬品開発を行う製薬会社が実施しなければなりませんが、選択肢を限定して安定性リスクを最小化することができれば、時間とリソースを節約することができます。」 両社が効率的に連携することで、より早く、より安全な医薬品を上市することが可能となります。

1 世紀にわたる医薬品の卓越性

この液剤の一次包装の経験は、偶然に生まれたわけではありません。100年以上前にオットー・ショットが発見した医薬用ガラスは、現在でも世界の標準となっています。ショットは1920年代に医薬品包装としてアンプルの製造を開始し、その後バイアル、シリンジ、カートリッジなどをラインナップに加えました。ドイツの老舗企業であるバイエル社とショット社の取引関係もこの時期にさかのぼります。

カルヘファー氏にとって、新薬とそれに関連する包装材の開発は、メーカーとサプライヤーの協力関係がこの数年でいかに進んだか、そして今後も進化し続けるかを示す好例です。最終的に、医薬品が完全に開発され、患者さんに使用できるようになるまでには、少なくとも8〜12年の歳月を要します。品質、形式、組成の観点から適切な包装材を用意することも重要な役割です。「サプライヤーは、当社製品の開発・生産と一体化した存在になりつつあります。次のステップは、開発の初期段階において、サプライヤー、調達、医薬品開発者間のタイムリーな調整を図ることです。皆で揃ってそこに到達したいです。」とカルヘファー氏は言います。

サッシャ・カルヘファー氏(バイエル社)、Dr.ベルンハルト・フラディック、ステファン・キュッパー・ブレンベルガー氏(ショット社))

(左から) バイエル社 サッシャ・カルヘファー氏、ショット社 Dr.ベルンハルト・フラディック、ステファン・キュッパー・ブレンベルガー氏

白い粉末を封入した透明なガラス製バイアル

適切な包装材の選択は、患者さんのニーズ、医薬品、充填プロセスによって異なります。

連携して最適なソリューションを

サプライヤーにとっても、もはや包装材「のみ」を提供するのでは不十分です。これについては、ショットのエリアセールスマネージャー、ステファン・キュッパー・ブレンバーガーも実感しています。「以前は、お客様が比較的遅い時期にやってきて、アンプルやバイアルの必要数を発注されることがありました。しかし、それでは試験段階で包装材と医薬品の相性が悪いことが判明した場合、対応する時間が足りません。バイエルのような大手製薬会社には、特定の医薬品に最適な包装材を見つけるために協力する必要があることを理解していただいています。」 そのため、ショットは包装材ソリューションと品質レベルの幅広いポートフォリオを提供するとともに、追加のラボサービスも提供しています。

しかし、包装材と内容物の相性だけが問題なのではないとフラディック氏は付け加えます。「医薬品がどのように充填され、保管され、調剤されるかも考慮しなければなりません。これにより、カメラを使用して検査し、あらかじめ滅菌しすぐに充填できるバイアルを提供したり、ペンや自動注射器と連動したパッケージングコンセプトを開発したりすることができます。」 さらに、「最終的には、協力して最適なソリューションを見つける必要があります。」とも述べています。

バイエルにとって計画や活動のすべてにおいて患者さんの安全が常に最も重要な要素であるため、品質や納品時期などの信頼性、サプライヤーへの信頼は、協力の重要なポイントとなっています。サプライチェーンにおけるミスは、広範囲に影響を及ぼす可能性があり、それは生産に目を向ければ明らかです。例えばバイオ医薬品の場合、完全なバッチの製造初日から包装されるまでに、最大で6カ月かかることもあります。場合によっては、医薬品の年間生産量がサッカーボールの半分以下に収まることもあります。「有効期限が限られている薬剤もあり、患者さんが必要とするときにすぐ使えるように、企業は医薬品を製造しなければなりません。ある期間にサプライヤーから不良品や機能不全の包装部品を受け取ると、バッチを包装できなくなるか、必要なときに一部または全数を納入できなくなります。患者さんによっては、命にかかわる事態になる可能性もあります。」とカルヘファー氏は言います。

ガラスバイアル製造ライン

医薬品包装は厳格な品質ガイドラインに従って管理されます

研究室でガラス製バイアルを検査する女性科学者

充填前に自動的かつ視覚的に多くの品質管理が行われる医薬品容器

一次包装に不可欠な長期的安定性

また、医薬品のライフサイクルを考えると、一次包装の重要性は明らかです。カルヘファー 氏は次のように語ります。「当社は数十年にわたり市場で成功を収めてきた製品があり、多くの場合、同じ確立されたパッケージングシステムを使用しています。もし、サプライヤーが市場から撤退したり、品質上の理由でパッケージを供給できなくなった場合、患者さんに製品を提供できなくなる可能性があり、パッケージを切り替えるために多くの労力を費やし、厳しく長い薬事承認プロセスを再び受けなければならなくなります。バイエル社は、このような患者さんのリスクを何としても回避することに尽力しました」。

長期的に成功するビジネス関係には、相互の信頼と、サプライヤーが顧客を念頭に置きながら戦略的投資について十分な情報を得た上で意思決定できるような現実的な将来の見通しが必要です。例えば、ショットはミュールハイムの工場で、内面にコーティングを施したバイアルの生産を大幅に拡大しました。カルヘファー氏によると 「このようなパートナーシップは、両者にとってwin-winの関係でなければならず、共同の発展を可能にするものでなければなりません。」

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