リチウムバッテリーパック用のバッテリーヒューズを選ぶ際のヒント

バッテリーヒューズは、過電流や過充電によるダメージや異常からリチウムイオンバッテリーを保護し、発火や発熱による機器や部品の損傷や事故を未然に防ぐために用いられています。

一般的に、電流ヒューズは過電流保護として使用されます。それに対しバッテリーヒューズは、使用中に過電流が発生した場合、ヒューズ素子が溶断し回路を遮断するとともに、バッテリー管理システム(BMS)との連携による二次保護機能を有しており、過充電が発生した場合には、二次保護ICでFETを作動させ、ヒータを発熱させることでヒューズ素子を溶断し回路を遮断します。

1.優先順位を設定する

電子機器や電動工具、自動車などは安全性が最優先されており、信頼性の高いバッテリーヒューズの需要が高まっています。バッテリーヒューズは、過電流や過充電などの危険な状況からリチウムイオンバッテリーを保護するよう設計されています。また、実装作業性の面から表面実装型の設計が求められています。

2.アプリケーションを知る

アプリケーションごとに必要な保護の程度は異なります。特にリチウムイオンバッテリーは特別な保護が必要です。リチウムイオンバッテリーの電圧、電流、温度は制御回路により動作範囲内に制御されますが、例えば、充電式電動工具/ガーデンツールにおいては、バッテリーパックに大電流が印加されます。これは、考慮しなければなりません。

リチウムイオンバッテリーパックは、通常、バッテリーセルとバッテリーマネージメントシステム(BMS)で構成されています。最先端のBMSには、一次および二次保護回路とバッテリー保護ヒューズが含まれています。

一次保護ICは、セル上の電圧とバッテリーに出入りする電流を測定します。いずれかの測定値が規定の範囲を超えた場合、一次保護ICは、回路を遮断するための信号をFETに送ります。一次保護回路が正常に機能しない場合には、二次保護回路が作動し、バッテリーヒューズなどの二次保護デバイスが回路を遮断します。

このバッテリーヒューズの設計と機能は、ダメージを与えうる危険な過電流や過充電からリチウムイオンバッテリーを保護します。

3.過電流からの保護する

バッテリーヒューズ_過電流
SCHOTT SEFUSE®バッテリヒューズは、過電流が発生した場合に回路を遮断するヒューズ素子を内蔵しています。

電気システムにおいて最も基本的な要件は、導体と機器の適切な過電流保護です。過電流保護デバイスは、電流が導体に過度または危険な温度上昇を引き起こす値に達すると、デバイスを遮断し回路を保護します。

使用中に過電流が発生した場合、ヒューズ素子が溶断し回路を遮断します。過電流には、回路の設計容量を超えて過大な電流を流す過負荷と短絡の2種類があります。

 

4.過充電の問題を考える

バッテリーヒューズ_過充電
過充電の場合、FETが作動し、ヒーターがヒューズを溶断し、その後回路が遮断されます。

過充電はバッテリーの寿命を著しく縮め、危険な状況に陥るリスクがあります。過充電は過熱を引き起こし、電解液のガス放出のために爆発を引き起こす可能性があります。そのため、バッテリーメーカーには、これを防ぐための適切な安全対策が求められています。

バッテリーヒューズの過充電保護は、電源から切り離すことでバッテリーの過充電を防ぎます。過充電が発生した場合、二次保護ICが該当するセルの電圧上昇を検出し、外部のFETを作動させます。このFETがバッテリーヒューズのヒーター回路をオンにし、その後ヒューズを溶断し回路が遮断されます。

5.安全基準を理解する

回路設計者は、リチウムイオンバッテリーの各種安全規格への適合が必要であることを考慮しなければなりません。例えば、リチウムイオンバッテリーのIEC規格では、1つの保護装置を無効(単一障害状態)にして外部短絡試験を行う必要があります。また、充電式電動工具のIEC規格では、異常時のリチウムイオンバッテリーの充電試験でセル電圧が要求仕様を満たさない場合、充電システムを永久的に無効にすることが要求されています。いずれの場合も、二次保護デバイスを追加することでこれらの要件を満たすことができます。バッテリーヒューズはこれらの要件を満たすための理想的な選択肢となります。

6.バッテリーセルの進歩に関する最新情報を把握する

研究者は、安全性と高エネルギー密度の両立を目指して、リチウムイオンバッテリー技術の基礎研究を続けています。最近の開発では、最新のリチウムイオンバッテリーが大幅に改良され、内部温度を上げずに大電流の充電が可能になりました。しかし、過充電の危険性はまだ残っており、バッテリーヒューズなどの二次保護デバイスが必要です。

March 1st, 2021

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森 翼

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