組立てたのではなく、特別に設計

ショットのガラス管を使った、オーピーバイオファクトリーとVaricon Aqua社によるフォトバイオリアクター・プロジェクトが日本の沖縄県で持続可能な藻類生産を推進

藻類はとても経済的ですが、培養するために膨大な量を必要とするものがひとつあります。それは光です。密閉されたチューブラー型フォトバイオリアクター(PBR)では、ガラス管内壁近くの日光をすべて藻類が吸収するため、培養液の中は表面から数ミリで暗くなります。混合率、PBRの全長や他のさまざまな要因がこの明暗比に影響を与えます。培養プロセスの効率を最適化するには、それらの要因を最適なバランスにすることが重要です。そのために、科学者は産業用に微細藻類を大量に培養するフォトバイオリアクター(PBR)を開発しました。微細藻類には有益な成分が豊富に含まれており、さまざまな用途に使われます。微細藻類は、例えば栄養補助食品や化粧品にも使われています。

オーピーバイオファクトリー株式会社は日本の微細藻産業イノベーションの最前線にいます。PBR製造メーカー、Varicon Aqua社の専門技術とともに、オーピーバイオファクトリーは沖縄の島に特注のチューブラー型フォトバイオリアクター(Phyco-Flow™)を導入しました。今回構築したPBRは、Varicon Aqua社が手がけたシステムの中でも最も複雑なシステムのひとつです。Varicon Aqua社のマネージングディレクター、ジョー・マクドナルド氏に、この特別な素晴らしい藻類プロジェクトの開発について伺いました。

プロジェクトの背景と構築したPBRシステムについて教えてください。

Varicon Aqua社は、これまで、いくつもの困難なプロジェクトを経験してきました。私たちは15年以上の経験を持ち、世界中で250を超えるプロジェクトを完了しています。しかし、今回の日本のプロジェクトは、複雑さという点で非常に特別です。今回投入されたエンジニアリングのレベルは、私たちの長いプロジェクトの歴史の中でも特別なものです。オーピーバイオファクトリーの代表取締役 金本昭彦氏との密接な協力によって、私たちは、特注設計のPhyco-Flow™というチューブラー型フォトバイオリアクターを2段階のプロジェクトで構築することができました。まず最初に、1,100リットルのPhyco-Flow™フォトバイオリアクター2基を設計して設置し、その後、さらに7,000リットルのフォトバイオリアクターを2基設置したのです。

このプロジェクトで特に難しかったことは何ですか?

沖縄特有の気象条件は、私たちが直面した課題のひとつでした。ショットのガラス部品を使用したPhyco-Flows™は、名だたる沖縄の台風からフォトバイオリアクターやコンポーネントを保護するために、ステンレススチール網が付いた2基のアルミニウムフレームに収められています。これらのPhyco-Flow™システムには、今では、Typhoon1号~4号と愛称がついています。各フェーズにはそれぞれ総延長5,000メートルのショットのガラス管が使われています。

その他に特別な工夫があれば教えてください。

Phyco-Flow™は完全自動遮光機能や冷却機能などさまざまな要素で構成されており、それぞれの要素には4基のフォトバイオリアクターをモニタし制御するために必要なデータ取得とデータ制御機能がついています。私たちは、内部要素と外部要素の間に給水返流システム構台を据え付けたメイン実験装置の中に、すべてのプロセス制御要素を設置しました。冷却システムは水冷機およびメカニカル・フィルタによる冷却水の回収とイオン交換システムを介したリサイクルの組み合わせを利用しています。この方法によって、ショット製ガラス管外表面への沈殿物の堆積が軽減され、生物学的プロセスに対して非常に高いレベルの光透過性が維持されます。この効果は極めて重要です。つまり、これによって適切な量の太陽光が藻類に与えられるのです。

このプロジェクトではどのような藻類が使用されたのでしょうか?

採取された藻類はとても繊細で敏感なパブロバ種という藻で、カロテノイドなど主要な二次代謝産物を多く含むことで知られています。この藻類は養殖や栄養補助食品、機能性食品や化粧品などの分野で使われます。

対象となる藻のせん断応力と光応力に対する脆弱性と感度を考えると、このプロジェクトを一から設計することが何よりも重要でした。コンピューターによる流体力学計算は弊社の保有技術の中でもキーとなる手法で、さまざまな構成の適合性や限界を見極めるために日常的に使っています。たとえば、流体力学計算によって、さまざまな高さと長さの比率決定することができますし、適切なポンプ機能の選択にも重要な役割を果たします。

他に注意しなければならないことはありましたか?

もうひとつの重要な要素は温度の安定性です。特に光合成が自然光と季節的な気象条件に依存している場合、分単位や一日毎の温度の安定性が重要です。私たちは温度制御システムの設計にも徹底した手法をとりました。さまざまな地理的位置や環境条件で多くのモデルを詳細に検討しました。多くのプロジェクトで蓄積した実証データと私たちが作ったモデルを比較し、モデルの条件に常に修正を加えることで、各プロジェクト設計の信頼性を高めることができました。私たちのシステムは単に組立てたものではなく、まさに「設計」なのだと言うことができます。このデータは最悪のシナリオによる熱負荷と、微細藻にとって最適な条件を維持するために必要な培養液フローを決定するために使われます。

なぜ、こんなにも複雑で特注のプロジェクトを成功させることができたのですか?

このプロジェクトにはたくさんの細かい要素があり、各要素の相互作用が全体の設計を成功させるための鍵でした。幸運なことに、このプロジェクトでは初日から全力で取り組むクライアントがいたのです。彼は多くの設計の議論に深くかかわり、私たちが、彼の会社の構想しているものを確実に提供できるようにしてくれました。金本昭彦氏は本当に「現場主義」のCEOで、工学や生物学のあらゆる分野に精通しています。

次は何をするのですか?今後の計画はありますか?

幸い、オーピーバイオファクトリーには4基のPhyco-Flow™システムの良好な操作性とパフォーマンスにとても満足していただいています。私はすでに9月半ばに岡山で金本氏と会い、計画済みの生産能力拡大について今後のステップを話し合い、合意しました。私たちはプロジェクトの第3フェーズを2020年中に開始できると思っています。

ジョー・マクドナルド氏:学際的な藻類専門家

ジョー・マクドナルド氏は、水生バイオテクノロジーを中心とした学際的な分野で30年の経験をもっています。マクドナルド氏の専門分野は魚類の養殖から行動生態学、藻類の個体群動態まで広範囲にわたります。マクドナルド氏はイギリス海洋魚類協会の理事やオークニー養殖業協会の会長補佐を務めた後、アジア各国で働き、技術や営業など広範なビジネスの経験を積みました。現在は、Varicon Aqua社のマネージングディレクターとして世界各国でフォトバイオリアクター事業を展開し、成功に導いています。マクドナルド氏は生物学者でもあり、イギリス標準協会(BSI)のバイオ製品ワーキンググループのメンバー、ヨーロッパ藻類バイオマス協会(EABA)の産業ワーキンググループの理事、またイギリス藻類協会の運営委員を務めています。

2019年11月26日

お問い合わせ

ショット日本株式会社
ガラス管事業部
内田貴久

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